- コラム
サイト移設の落とし穴を回避!SSLの「事前認証」でダウンタイム・ゼロを実現する技術解説

サイト移設(サーバー引っ越し)は、WEB制作において最も神経を使う作業の一つです。特に「SSL(常時HTTPS化)」の切り替えタイミングを誤ると、移設直後にサイトが見られなくなる「SSL空白期間」が生じてしまいます。
今回は、このリスクを回避するために私たちが実務で行った「SSL事前認証」のプロセスと、それを阻む意外な壁を.htaccessで解決した事例をご紹介します。
目次
1. SSL認証の4つのパターンと特徴
SSL証明書を発行するためには、「そのドメインの所有者であること」を証明する必要があります。その方法は主に4つありますが、状況によって最適な選択肢が変わります。
| 認証タイミング | 認証方法 | メリット | デメリット / 適したケース |
| ① 事後認証 | HTTP認証 | 最も一般的で簡単。 | 移設後にしか発行できない。 数分〜数十分のダウンタイムが発生するため、大規模サイトには不向き。 |
| ② 事前認証 | ネームサーバー切り替え | サーバー側が自動で全て処理してくれる。 | ネームサーバーの移管が必要。反映に時間がかかり、切り替えタイミングの制御が難しい。 |
| ③ 事前認証 | レコード(DNS)認証 | サーバーを触らずに認証可能。 | DNSレコードの追加が必要。 今回のように「レコード編集が有料」「即時反映されない」環境では不向き。 |
| ④ 事前認証 | ファイル(HTTP)認証 | 現行サーバーがあれば即実行可能。 | 既存サイトのURL設定(正規化)に影響を受けるため、技術的な調整が必要。 |
今回「ファイル認証」を選んだ背景
今回のケースでは、ネームサーバーの切り替えを伴わない「Aレコードの書き換え」による移設でした。また、DNSレコードの編集にコストと時間がかかる制約があったため、「現行サーバーに認証ファイルを置くことで、移設前に新サーバー用のSSLを発行しておく」という④の方法が最適解となりました。
2. 解決すべき課題:URL正規化の「罠」
事前認証をスムーズに進める上で、大きな壁となったのが**「既存サイトのURL正規化設定」**です。
移設対象となる既存サイトは、すでにSEO対策として「HTTPSへのリダイレクト」や「wwwありへの統一」といったURL正規化が完璧に行われていました。
なぜこれが問題なのか?
SSLのファイル認証を行う際、認証局(Let’s Encryptなど)のクローラーは、まず 「http://ドメイン/.well-known/…」 にアクセスしてきます。しかし、既存サイトが以下のような設定になっていると認証が失敗します。
- 強制HTTPS化: クローラーがHTTPでアクセスしても、サイト側が「HTTPSへ行け」と転送してしまう。
- www正規化: 「wwwなし」へのアクセスを「wwwあり」へ転送してしまう。
このとき、転送先(HTTPS側)にまだ有効な証明書がなかったり、転送によって認証ファイルの場所をクローラーが見失ったりすると、SSLの発行が拒否されてしまうのです。
3. 解決策:.htaccessによる「特定ディレクトリの除外」
この問題を解決するために、私たちは**「認証用ディレクトリだけ、全ての転送ルールを無視させる」**という設定を行いました。
具体的には、既存サイトのルートにある .htaccess は一切書き換えずに、認証用のフォルダ(.well-known)の中にだけ専用の .htaccess を設置しました。
実装したコード
.well-known フォルダ内に設置した .htaccess:
Apache
# このディレクトリ内ではURL書き換え(リダイレクト)を完全にオフにする
RewriteEngine Offこれにより、Apacheの「より深い階層の設定を優先する」という特性が働き、ルートディレクトリにある強力なHTTPS転送ルールを、このフォルダ内だけ無効化することに成功しました。
4. 実行した結果とメリット
この一工夫によって、以下の成果が得られました。
- 無停止でのSSL切り替え: Aレコードを切り替えた瞬間から、新サーバーでSSLが有効な状態で表示されました。
- 既存サイトへの影響ゼロ: メインの
.htaccessを編集しないため、現行サイトの動作を不安定にするリスクを完全に排除しました。 - SEO評価の維持: クローラーに対して「ページが見つからない」といったエラーを1秒も見せることなく、スムーズな移設が完了しました。
まとめ
サイト制作会社としてのこだわりは、単にデザインを作るだけでなく、こうした「インフラの継ぎ目」をいかに滑らかにするかという技術力にも宿ります。
「DNSを切り替えたらサイトが一時的に真っ白になった」というトラブルは、事前準備と少しのコードで防ぐことができます。安全・確実なサイト移設を検討されている方は、ぜひ私たちプロにご相談ください。
投稿者プロフィール

株式会社デジタルダイブ サービス担当者
1995年に愛知県で創業したホームページ制作会社です。
名古屋をはじめ、東京や大阪を拠点に全国の企業・官公庁の Web サイトを多数手掛け、幅広い分野で制作実績を積み重ねてきました。
創業以来、専門性の高いクリエイティブで信頼を築いています。
また、webデザインをはじめとしたクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO名古屋」を運営しています。
【許認可】
一般社団法人 日本Web協会、日本セイバーメトリクス協会(理事)、愛知県「あいちロボット産業クラスター推進協議会」(無人飛行ロボット活用WG)、JETRO(日本貿易振興機構)、名古屋市 SDGs 推進プラットフォーム 他
【有資格】
愛知県 競争入札参加資格、名古屋市 競争入札参加資格、全国 競争入札参加資格、全省庁 競争入札参加資格 他